スクリーン印刷用資材

スクリーン印刷とは

スクリーン印刷とは、オープニングと呼ばれる糸と糸の間の空間からスキージ(ゴムのヘラ、または金属のヘラ)を使ってインキを押し出し、画像パターンを形成する印刷法であり、古くから捺染や印染などの伝統工芸として日本に根付いている工法です。現在、スクリーン印刷は、エレクトロニクス分野ではなくてはならない工法として確立しており、プリント配線板や電子部品、フラットパネルディスプレイ、自動車メーターなどを製造する工程には、必ずスクリーン印刷法が用いられています。

製版の工程

スクリーン印刷で使用するスクリーン版の作製工程は次のとおりです。

枠を準備
準備

印刷物のサイズにより版枠の大きさを決めます。版枠には、アルミ枠、鋳物枠、木枠があります。また、メッシュの材質、メッシュ数など、スクリーンメッシュの選定を行います。

紗張り
紗張り

紗張りは、枠にスクリーンメッシュを張る作業です。紗張り機を用いて行います。
まず、紗張り機に枠を置き、スクリーンメッシュをクランプがつかめる大きさに切り取り、クランプに紗をかませ、テンションをかけます。設定テンションになったら数分間放置し、接着剤を塗って枠に接着させます。接着剤が完全に乾いたら切り離して完了です。

ステンシルの洗浄

ステンシルに付着しているゴミ、ホコリ、油脂分等を取り除くため、専用の洗剤、版洗浄機を用いて洗浄を行ないます。この洗浄を行わないと、次の工程である感光性乳剤の密着性が悪くなります。

乳剤塗布
乳剤のコーティング

乳剤のコーティングには、直接法と間接法があります。直接法はバケットを用いて、液状の感光性樹脂を塗布する方法。間接法は、平面性の優れた支持フィルム上に感光性を持つ乳剤膜を形成されたものを版に貼り付け、支持フィルムを剥がすことにより膜を形成する方法です。

ここでは、直接法について説明します。
感光性乳剤塗布機、もしくは手でコーティングします。
枠の大きさにあわせてバケット決め、乳剤を投入します。最初に裏側(印刷面と反対側)に薄く乳剤を塗布し、紗のオープニングを塞ぎ、次に目標の膜厚までコーティング→乾燥を繰り返します。乳剤をコーティングした後は厚みを測定し、十分乾燥させます。

ポジフィルム貼り付け 露光・現像
露光・現像

乳剤をコーティングした版にポジフィルムを貼り付け、露光します。露光量は乳剤厚とオープニングを充填している感光乳剤の性能で決まります。露光不足は、水現像時に乳剤が流れて画線にギザが出やすくなり、逆に、露光オーバーは、乳剤が紗の糸に多く付着しすぎるため、細線が潰れたり、ライン間の巾が狭くなったりします。露光後は、水で現像、乾燥させます。

検査・ピンホール対策

最後にライトテーブル上でピンホールの有無を検査し、ピンホールは感光剤で補修します。落版、再版を行わない精密印刷の場合、接着剤、塗料、インキで代用することも可能です。

印刷の工程

少量の印刷で、しかも印刷ムラがあまり問題にならない場合には手刷りが最適です。しかし、工業製品のように大量、かつ一定品質の製品が要求される場合には精度の高い全自動印刷機が必要となります。

スキージ

印刷前の準備と条件設定
1
インク、被写体、スキージがあります。インクと被写体については目的により選定します。スキージは被写体にインクを転移させるのに用います。スキージの形状には、平型、剣型、角型等があり、主にウレタンゴムが用いられます。スキージの選定方法としては、形状とゴムの硬度があります。形状やゴムの硬度により転移されるインクの厚さが変わります。
2
使用するインクをよく攪拌します。
3
スキージを印刷機にセットします。スキージの角度も重要な要素となります。
4
クリアランス、印刷スピードを決定します。
5
スキージの平行と基準面を決めるために、0点調整を行います。
6
スキージの押し込む圧力を決めます。
7
スクリーン版を印刷機にセットします。
8
スクリーン版にインクを載せます。

これで、印刷前の準備は完了です。
印刷
1
スクレッパーでパターンにインクを充填します。
2
被写体を印刷ステージに載せます。
3
印刷ステージをスクリーン版の下にセットします。
4
数回テスト印刷を行って、インクのかすれなど問題点がないかを確認し、問題点がある場合は印刷条件の見直しを行います。
5
印刷
6
①~⑤を繰り返す。
7
必要に応じてインクの後処理を行います。